
【完全版】ドール│登場作品・概要・シナリオ制作のヒントなどを完全網羅!※ネタバレ注意※
Dholes/Bholes
目次
基本設定・概要
危険度: ★★★★★☆☆☆☆☆
【ドール(Dholes)調査記録】
本報告は、惑星を内部から破壊する巨大な蠕虫状の存在、ドールについての調査記録である。
形態的特徴として、巨大な白色の蛆虫に似た姿を持ち、一端に口として機能する空洞を有する。この空洞から粘液状の唾を放出し、標的を包み込むことができる。大きさは豪華客船を上回るとされるが、豚のような鼻を持つより小型の個体も報告されている。これらは幼体とされ、急速に成長して親の大きさに達するという。
生態的特徴として、直射日光を忌避する傾向があるが、光による実質的な被害は確認されていない。また、他の蟲状の神話存在と同様、水による影響も受けない。完全に征服した惑星以外では昼間の活動は稀である。
最も重要な特徴は、惑星規模の破壊活動である。トンネルを掘り続けることで世界を内部から食い尽くし、居住不可能な状態にする。ヤディスを含む多くの世界がこの方法で破壊されたとされる。
他世界への移動方法については複数の説が存在する。魔術による召喚説、宇宙空間を「泳ぐ」能力説、ドリームランドの次元間構造を利用する説などが提唱されている。人類との関係については、『エイボンの書』の古版に召喚儀式が記されていたが、最後に残っていたエジプト版も既に失われている。
また、まったく異なる種として、黒色の四足獣のドールの存在も報告されている。この種は毒を分泌し、人間を含む生物に憑依して攻撃性を引き出す特性を持つとされる。ウェールズの伝説の小人との関連も示唆されている。
【ブホール(Bholes)調査記録】
本報告は、ドリームランドのナスの谷に棲息する神秘的な存在、ブホールについての調査記録である。
これまでに直接の目撃例は報告されていないが、ランドルフ・カーターとの遭遇記録から、何らかのワーム状の形態を持つことが示唆されている。主な生息地はドリームランドのナスの谷とされ、地下世界の納骨堂での存在も示唆されている。
特筆すべき仮説として、ブホールがドールの親種である可能性が指摘されている。この説によれば、ブホールは自身の子である幼生のドールを、虫食い穴を通じて他世界へ送り出しているという。
【文献学的注釈】
両者の名称に関して重要な混乱が存在する。元々「Dholes」として登場した存在が、S.T.ヨシによるラヴクラフトテキストの校訂版で「Bholes」と記載されたことに端を発する。『クトゥルフ神話TRPG』のドリームランドソースブックの著者が、これを別個の存在として解釈したことで、二種の異なる存在として扱われるようになった。ただし、最新の版の多くではこの区別は修正されている。
【住処】
- 地球内部、地下世界
ゲーム上ステータス・能力・恩恵等
ステータス(7版)
STR | CON | SIZ | DEX |
10D100*5 | (1D100+100)*5 | (100+STR/5)*5 | 1D4*5 |
POW | INT | HP | MP |
10D6*5 | 2D6*5 | 353 | 34 |
DB | ビルド | 移動 | 正気度喪失 |
+64D6 | 65 | 這う15/穴掘り10 | 1D4/1D20 |
行動
- 攻撃回数:1回
- 近接戦闘:30% …即死。幸運に成功すれば死体は見つかるだろう。
- 唾を吐く:50% …唾は3~5㎞まで届く。唾は円形に広がり、直径はSIZの0.3%になる。巻き込まれた者は1D4ラウンドの間麻痺する。抜け出すにはSTRでクリティカル成功する必要がある。捕らわれている間は毎ラウンド1のダメージを受ける。
- 巻き込む:80% …唾と同じ直径ですくい取る。飲み込まれると即死する。
- 回避:6%
装甲
- POW/5
魔術
- 呪文:なし。
技能
- なし。
能力
- なし。
シナリオ導入例・演出のヒント
原作「未知なるカダスを夢に求めて」では
- ランドルフ・カーターが夜鬼に連れ去られた先にいたのがドールだった
- 意志がある行動というよりかは無差別に移動していた

カーターの洞窟パートは虫ばかりで、人型の虫も出るし気持ち悪かったです。虫の嫌悪感はやはり大きさでしょう。芋虫でもドールサイズなら失神できます。
シナリオ導入例
1:地質異常調査型
- 世界各地で同時多発的に発生する原因不明の巨大な地下空洞の発見
- 地質学者が「まるで巨大な生物が地中を移動したような痕跡」と分析結果を報告する
- 空洞の壁面から大量の未知の粘液状物質が発見され、既知の生物由来ではないと判明する
- 衛星画像で地表に現れた巨大な穴が、規則的なパターンで地球全体に拡散している
2:小型種憑依事件型
- 山間部で住民が突然攻撃的になる奇病が流行
- 患者の血液から未知の毒素が検出され、体内に小さな黒い寄生虫の存在が確認される
- 地元の伝承で語られる「邪悪な小人」の特徴と、寄生虫の形態が酷似
- 感染者が夜間に山の洞窟に向かう異常行動を繰り返し、行方不明者が続出

邪神に憑依されるパターンはあっても、寄生虫は最高に最悪です。苦手な人にはとことん刺さるので、無難に1の巨大UMAが見つかったくらいがいいかもしれません。
演出のヒント
1:惑星規模破壊の恐怖演出
- 地球規模被害:一匹の活動だけで大陸プレートに影響を与える、スケールの絶望感
- 内部からの崩壊:表面上は平穏でも、足元の地面がすでに空洞化している不安
- 時間的猶予:完全破壊まで数年から数十年という、回避可能だが切迫した脅威
2:幼体から成体への成長演出
- 急速成長:短期間で豚サイズから客船サイズまで巨大化する異常な成長速度
- 形態変化:成長過程で鼻や口部の形状が変化していく変態的発達
- 成長阻止:幼体段階での駆除が唯一の対処法という時間的制約



デカーいで済めばいいですけど、ドールはデカすぎです。地球の内側が崩壊すれば、全人類滅亡間違いなし。邪神よりもたちが悪く、封印できないので討伐は必須になります。
イラスト・ファンアート・素材紹介


- 素材:烏の詐偽小屋様「クトゥルフ神話TRPG 神話的生物立ち絵 弐 – 烏の詐偽小屋 – BOOTH」
セット価格:500円
他の神話生物・魔導書との関連
【相関】
【関連魔導書】
- 『エイボンの書』(古版)
- 『ドール讃歌』
- 『トート=アモンの巻物』
- 『緑の書』
登場作品
- 「銀の鍵の門を越えて」 (ラヴクラフト&E.プライス)
- 「未知なるカダスを夢に求めて」
- 『クトゥルフ神話図説』 (ピーターセン)
- 「時の砂」 (ハーバー)
- 「白魔」 (マッケン)
- “The Art of Playing Mythos” (アニオロフスキーほか)
- “Dreams in the House of Weir” (カーター)
- “The Ceremonies” (クライン)
- “The Lambton Worm” (ハザリ)