- 「The Treader of the Dust」(C.A.スミス)
- 「殺人リスト」(ハーバー)
- 「The Keeper of the Dust」(ブレナン)
【住処】
- 物質のない「リンボ」(時空を超えた領域)
本報告は、時空を操作し、あらゆる物質を塵に帰す能力を持つ、「リンボ」に住まう存在についての調査記録である。
形態的特徴として、4フィート(約120cm)ほどの、手足が硬直したしなびた人間のミイラのような姿で出現する。「塵を踏むもの」の異名を持ち、その足跡を塵の上に残すという特異な性質を持つ。出現時には灰色の光線に乗って空から降下し、接触したものを即座に塵へと変える。
最も特徴的な能力として、時間と空間の操作が挙げられる。時間の流れを加速または逆転させ、物質の移動や転送、創造と破壊を自在に行うことができる。その出現に先立ち、周囲の時間が異常に加速され、限られた範囲内のすべてのものが急速に老化するという現象が報告されている。
『カルナマゴスの遺言』によれば、この存在の招来は極めて危険とされる。儀式の言葉を読むだけでも致命的とされ、特に自傷傾向や自殺念慮を持つ者は無意識的に自死に至る可能性があると警告されている。一方で、「エクスクロピオス・クァチル・ウタウス」という言葉を用いることで契約を結ぶことが可能とされ、不死との引き換えに召喚者の背骨を歪めるという。ただし、この「禁じられた言葉」が再び唱えられると、元従者を抹殺するために現れるという。
歴史的影響として、古代エジプトではアクェンやメジェドの名で、また「カ=レト(塵の守護者)」として崇拝された可能性が指摘されている。さらにシュメール神話のエレシュキガルも、この存在の影響を受けた擬人化という説があるが、異論も存在する。
本質的な性質として、エントロピーとの関連が指摘されている。宇宙に荒廃をもたらし、すべてを灰塵に帰すことを目的とする「絶滅の代理人」として描写され、アザトースの破壊と創造の意思を司る様相の一つとする説もある。現在の「リンボ」での隔離は、その破壊的影響力を抑制するための措置である可能性が示唆されている。
【関連魔導書】
- 『カルナマゴスの遺言』
- 砂漠の秘密の柱の記録
【相関】
- 関連:アザトース(破壊と創造の意思の一様相説)
- 同一視:アクェン、メジェド(古代エジプトの神格)、エレシュキガル(シュメールの神格)、カ=レト(エジプトの塵の守護者)
- 契約:魔術師たち(不死との引き換えに背骨をねじ曲げる)
【能力】
- エントロピー…クァチル・ウタウスを中心に、その周囲のものが不自然に時間経過し、その手に触れられたものは急速に老化し、塵になる。
- 時間操作…50m範囲内であれば環境、物でも任意に時間を操作できる。
- 空間操作…100m以内のものを空間を超えて移送できる。
- くぎ付けにする…対象をその場に拘束する。
【恩恵】
- 不死…恩恵を受けた者は、若返ることも老けることも、不死になることもある。
- 知識…過去、現在、未来の知識を与えてくれる。
- 神話的知識…人間から時間をもらう代わりに、呪文や知識を与えてくれる。
- クァチル・ウタウスの約定…体が変形してしまうが、不死と怪我をしない体を授ける。
- 時間…時間を移動できるようになる。