
【完全版】アブホース│登場作品・概要・シナリオ制作のヒントなどを完全網羅!※ネタバレ注意※
Abhoth
目次
基本設定・概要
危険度: ★★★★★★☆☆☆☆
本報告は、「汚物と病気の神格」「灰色の母」として知られるアブホースについての調査記録である。
形態的特徴として、灰色に光る巨大な粘着質の塊の姿を持ち、好きなように擬足や触肢を形成できる。イカーの洞窟に封じ込められているとされ、その暗黒の洞窟はンカイ(北アメリカの地下世界、ただし世界規模に広がっている可能性あり)の地下領域にあるとされる。
この存在の起源については複数の説が存在する。ウクォールと呼ばれる場所(惑星か異次元かは不明)からの来訪者とする説、ウボ=サスラの落とし子とする説、地球で誕生した兄弟的存在とする説などが並立している。また、ツァトゥグァとの関係性も示唆されているが、友好的か敵対的かは不明である。
特筆すべき特徴として、灰色の塊の中で絶え間なく怪物を形成し、産み落とす能力を持つ。これらの子は親から這いずり出ていくが、その大半はアブホース自身によって捕捉され、根源の塊へと再び取り込まれる。しかし、一部の落とし子は生存に成功し、親の傍らで仕える者、迷宮に潜む者、地上世界へ脱出する者など、様々な運命を辿る。
人類との関係について、記録に残る唯一の直接的遭遇では、擬足で侵入者を感知した後、テレパシーによる交信を行い、その者の通行を許可している。これは未知の存在を食することへの躊躇や、消化不良を避けたいという慎重さの表れとされる。ただし、生け贄が必要な際には自身を幻影で包み、疑うことを知らない犠牲者を誘い寄せることもある。
歴史的には、ハイパーボリア時代にヴーアミタドレス山の地下に棲息していたとされる。現在は、ダニッチの地下深くの洞窟か、あるいはドリームランドの灰色障壁山脈の地下に棲んでいる可能性が指摘されている。
崇拝の例は稀少で、クランノリアのハイパーボリア人居留地での事例が知られているが、最終的に信者たちはアブホースによって破壊されている。また、「暗黒のアブホース」としてヒッタイトの碑文に言及されているが、アブホース自身はこれらのカルトに無関心で、特別な恩恵を与えることはないとされる。
【住処】
- 現在:灰色のイカーの洞窟(ンカイの地下領域、ダニッチの地下、またはドリームランドの灰色障壁山脈の地下)
- 過去:ヴーアミタドレス山の地下
ゲーム上ステータス・能力・恩恵等
ステータス(7版)
STR | CON | SIZ | DEX |
200 | 500 | 400 | 5 |
POW | HP | MP | DB |
250 | 90 | 50 | +6D6(擬足が1本の場合、1D6) |
ビルド | 移動 | 正気度喪失 |
7 | 0 | 1D6/2D10 |
行動
- 攻撃回数:1回
- 近接戦闘:60%/1D6
- 捕まえる:40% … 捕まった対象は、抜け出す機会が1回だけある。STR対抗でクリティカルか、ハードのDEX対抗に成功した場合、抜け出すことができる。失敗した場合、そのまま吸収され即死する。
- 押しつぶし:60%/6D6 … 5m範囲内の人間を押しつぶす。
装甲
- なし。
- 1ラウンド毎にHPが20回復する。
- HPが0になれば地下深くへと逃げていく。その後6D10日後に復活する。
魔術
- 呪文:なし。
能力
- 複製:自身の体の一部を授け、その一部がアブホースの落とし子になる。
- テレパシー:落とし子のみならず人間とも、距離関係なく意思疎通が図れ、距離が近かった者はアブホースに意識を乗っ取られることがある。
恩恵
- 芸術的な脅迫概念:アブホースに影響されるたびに芸術作品を作り出す。
- 命の操作:アブホースの体の一部を授かると、その一部を使って無機物だろうと命を与え、ホムンクルス化できる。
シナリオ導入例・演出のヒント
原作「七つの呪い」では
- 呪いによって犠牲者がアブホースの元に行くが、アブホースは食べたことがないものを口にしたくないという理由で食べない
- アブホースは動くことができないため、地下世界以外を知らない
- そのため、外の世界が危険と思い外の世界に行くように新たに呪いをかける

生贄になる人間が来たのに、あぶほーすは人間を食べたことがないから、生贄も食べないという謎の人間性に思わずにっこりです。
シナリオ導入例
1:事件型
- 廃工場や地下施設で働いている労働者たちの性格が変わるという事件が発生する
- 彼らはアブホースの落とし子に寄生されていて、アブホースの生贄になるよう誘導するため、労働者になりすましていた
- 現場を調べて地下に向かうと、奥には動けないアブホース本体が鎮座している
2:ホムンクルス型
- 探索者たちは、街に同じ人物が二人歩いていたという噂を耳にする。
- 真相を確かめようとすると、同時刻に異なる場所で二人の同一人物を目撃することになる。
- 事件を調査していくと、アブホースという存在と、アブホースを信仰するものがホムンクルスを量産していることを知ってしまう
- 現場を特定しそこに向かうと、生き物ではなく、ホムンクルス化した機械や家具が探索者に襲い掛かる

無機物でもホムンクルス化できるのはアブホースならではの特徴です。家具が襲ってくるというのはポルターガイスト的なホラー展開にも持って行けそうです!。
演出のヒント
1:静的な恐怖演出
- 無力な巨大さ:巨大だが動けない存在の不気味さ
- 受動的脅威:自分からは何もしないが、周囲に影響を与える恐怖
- 鈍重な存在感:のしかかるような重圧感を言葉や描写で表現
2:食人・共食いの猟奇演出
- 生命サイクルの異常:自分の子を食べることの不自然さ
- 無感情な捕食:愛情も憎悪もない機械的な食事行為
- 終わりのない繁殖:産んでは食べる永続的サイクル



知性があるウボ=サスラといった感じですが、アブホースには慈悲があります。動けないし優しいからと言って、探索者に侮られないようなロールプレイを心がけて威厳が保ちましょうっ。
イラスト・ファンアート・素材紹介


- イラスト:IvanDuran9様「Abhoth by IvanDuran9 on DeviantArt」


- 素材:烏の詐偽小屋様「クトゥルフ神話TRPG 神話的生物立ち絵伍 SPLL:E107505 – 烏の詐偽小屋 – BOOTH」
セット価格:500円
他の神話生物・魔導書との関連
【相関】
登場作品
- 「七つの呪い」 (C.A.スミス)
- 『精神寄生体』 (C.ウィルソン)
- “Return to Dunwich” (ハーバー)
- 『A Guide to the Cthulhu Cult』 (ペルトン)
- “H.P. Lovecraft’s Dreamlands” (ウィリアムズ&ピーターセンほか )