
【完全版】アザトース│登場作品・概要・シナリオ制作のヒントなどを完全網羅!※ネタバレ注意※
Azathoth
目次
基本設定・概要
危険度: ★★★★★★★★★★
本報告は、「原始の混沌」「万物の王である盲目にして痴愚の神」として知られるアザトースについての調査記録である。
形態的特徴として、通常は無形の混沌の塊であり、星よりも大きいとされる不定形の体を持つ。ただし召喚時には異なる姿を取ることもある。人間の目や精神では、その完全な姿を認識できず、直視すれば目も脳も溶解するとされる。
この存在は宇宙の始まりから存在し、万物の中心部、通常の時空を超えた場所に棲む(一説では宇宙の中心、または地球の地下の洞窟とも)。多彩な色をした幕が、空間と時間の法則が崩壊したアザトースの宮廷と宇宙を隔てている。
特筆すべき特徴として、アザトースは常に下級の神々による音楽に取り囲まれている。フルートの単調で耳障りな音と悪しき太鼓の音に合わせて、その巨大な体を絶え間なく踊らせ、周囲では異形の神々が無心に踊り続ける。この音楽は、アザトースを眠らせ続けるために不可欠とされ、もし目覚めれば宇宙は終焉を迎えると予言されている。ただし、短時間の覚醒と再び深いまどろみに落ちる瞬間があり、その際には宇宙のどこかで途方もない災厄が起こるとされる。
眠りの中でもアザトースの夢見る心は活動を続け、宇宙に影響を及ぼし続けている。その精神的なメッセージや力は奇妙な波動となって時空の外域まで届き、惑星やその住人に影響を与える。この影響は、複数の都市を破壊するような大規模なものから、個人に触れる程度の小規模なものまで様々である。
伝承によれば、アザトースの主要な意志(あるいは衝動)はニャルラトテップによって方向付けられ、動かされているとされる。ニャルラトテップは摂政として働き、アザトースの意志を解釈して具現化する。一説では、ニャルラトテップはアザトースの潜在意識が命を持って顕現した存在に過ぎないとも言われる。
アザトースとの接触は極めて危険とされ、その存在のごく一部でも地球上に招来されれば、複数の都市を壊滅させる大惨事が起こるとされる。アザトースは呪文やシャッガイからの昆虫の神殿にある特別な入り口を通してのみ召喚可能とされる。『妖蛆の秘密』には、その招来に大量の核分裂物質が必要との記述がある。
アザトースの起源や本質については諸説存在する。ビッグバンとの同一視説、ギリシャとノルウェーの創世神話との関連説、放射能の擬人化説、グノーシス主義のアカモートやエジプトの太陽円盤アテンとの類似説などが提唱されている。また、星間大戦で知性と体を失ったとする説や、さらに恐ろしい何かの手先であるとする説も存在する。
崇拝は比較的稀少で、地球での唯一のカルトはグノフケー族のものとされる。現代では隔離された狂人たちや、シャンの民の間に信者が存在し、特にシャンの神殿には化身ザーダ=ホーグラの像が安置されている。アザトースの名前を唱えることは異世界の存在に強力な力を与え、その秘密の名前はさらなる力を持つとされるが、『ネクロノミコン』にすら記されていない。
【住処】
- 宇宙の中心
- 多彩な色の幕で隔てられた宮廷
- 通常の時空を超えた次元
- シャッガイの昆虫の神殿
ゲーム上ステータス・能力・恩恵等
ステータス(7版)
STR | CON | SIZ | DEX |
不明(200) | 不明(100) | 不明(100) | 不明(60) |
POW | HP | MP | DB |
500(100) | 不明(20) | 100(20) | 不明 |
ビルド | 移動 | 正気度喪失(全身) | 正気度喪失(一部) |
不明(4) | 0(6) | 1D10/1D100 | 1D6/1D10+2 |
- 顕現して生きている者はいないため、正しいステータスは未知数。
行動
- 攻撃回数:1D6(1D4)回
- 近接戦闘:100%(50・20) … 1D100(1D10)
装甲
- なし。
- 旧き印を使えば3D6のダメージを与えるが、その後印は壊れる。
- HPが0になれば崩壊する。その後1D6時間後に復活する。
魔術
- 呪文:全て
能力
- 楽団:外なる神の従者を引き連れている。
- 無情:任意のタイミングで、任意の場所に触手を出すことができ、その触手が触れた対象を崩壊させる。
- 荒廃:アザトースの本体が現れた場所は、そこを中心に周囲が灰になる。
恩恵
- 破滅の接触:目もしくは手がアザトースの通り道になる。
- テレポート:1.6km以内の場所なら瞬間移動ができる、その際に移動した場所には焼けた跡が残る。
シナリオ導入例・演出のヒント
原作「未知なるカダスに夢を求めて」では
- ニャルラトホテプに騙された主人公ランドルフ・カーターが、宇宙の中心にあるアザトースの宮殿まで連れて行かれた
- アザトースの真の姿を見て正気を保った人間はほとんどいないが、カーターは並外れた精神力でその恐怖に耐え抜いた
- 物理的な脱出は不可能だったため「夢から覚める」という方法で現実世界に帰還した
- アザトースは常に眠っているので基本的に無害とされている

見ただけで人間を発狂させるのは、やはり魔王らしい威厳があります。
しかし、ランドルフ・カーターのSAN値が化け物だから、魔王が小さく見えました。
シナリオ導入例
1.:夢研究型
- 睡眠研究所で行われている「深層心理の実験」への参加依頼。
- 被験者たちが次々と昏睡状態に陥り、目覚めても記憶を失っている。
- 実は研究責任者がニャルラトホテプの化身で、探索者たちを宇宙の中心へ誘導しようとしている。
2:古代遺物型
- 博物館で遺跡物として「夢見のアーティファクト」が展示される。その際、博物館のスタッフはニャルラトホテプの化身にするなど。
- アーティファクトの力で探索者たちはドリームランドに行ってしまう。
- ドリームランド内にも探索者を案内したスタッフがいて、アザトースの宮殿へと誘導する。

起きたら世界は崩壊します。いっそのこと、アザトースが起きそうな気配を感じて、ニャルラトテップと手を組んで、再び深い眠りにつかせるみたいなシナリオがあってもいい気がします。
演出のヒント
1:夢と現実の境界を曖昧にする演出
- 段階的変化:最初は楽しいドリームランド生活から始まり、徐々に宇宙的な恐怖へ
- 現実への侵食:夢で見たものが現実にも現れ始める
- 時間感覚の麻痺:夢の中では永遠に感じるが現実では一瞬
2:宇宙の中心への旅路演出
- 無重力感:重力や方向感覚を失う描写
- 音の演出:太鼓と笛の不協和音が次第に大きくなる
- 視覚的混乱:空間が歪む幻覚的描写
3:脱出シーンの演出
- 目覚めの困難:夢から覚めることの難しさ
- 現実への帰還:目覚めた時の安堵と混乱
- 後遺症:体験の記憶が曖昧になる恐怖



一部でも顕現すれば、顕現した地が致命的に崩壊します。関わらないのが一番だけどシナリオだから…というジレンマ。探索者との空気読みが始まりそうです。
イラスト・ファンアート・素材紹介


- イラスト:ClaudioBergamin様「Azathoth by ClaudioBergamin on DeviantArt」


- 素材:インスマス計劃様「クトゥルフ神話生物素材集 第4弾!! – インスマス計劃 – BOOTH」
単品価格:200円
他の神話生物・魔導書との関連
【相関】
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ニャルラトテップ 配下 | グノフケー族 崇拝者 | シャッガイからの昆虫 崇拝者、化身ザーダ=ホーグラを祀る |
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無名の霧 関連 |
【関連魔導書】
- 『アザトースその他の恐怖』
- 『アザトースの書』
- 『ネクロノミコン』
- 『妖蛆の秘密』
- 『ミサ・ジ・レクイエム・ペルシュジャイ』
登場作品
- 「未知なるカダスを夢に求めて」
- 「闇をさまようもの」
- 「魔女の家の夢」
- 「ネクロノミコン アルハザードの放浪」
- 『賢者の石』(C.ウィルソン)
- 「ハイドラ」(カットナー)
- 「妖虫」(キャンベル)
- 「暗黒星の陥穽」(キャンベル)
- 「The Nameless Tower」(グラスビー)
- 「Mandelbrot Moldrot」(グレッシュ)
- “Spawn of Azathoth”(ハーバー)
- 『アーカム計画』(ブロック)
- 「The Last Night of Earth」(マイヤース)
- 「アザトース」(ラヴクラフト)
- 『地を穿つ魔』(ラムレイ)
- 『旧神郷エリシア』(ラムレイ)
- “Professor Peabody’s Last Lecture”(レアード)