
【完全版】ヨグ=ソトース│登場作品・概要・シナリオ制作のヒントなどを完全網羅!※ネタバレ注意※
Yog-Sothoth
目次
基本設定・概要
危険度: ★★★★★★★★★★
本報告は、「戸口に潜むもの」「鍵にして門の守護者」「球が出会う場所の門の鍵」として知られるヨグ=ソトースについての調査記録である。
形態的特徴として、その本質は虹色に輝く球体の集積として現れ、固体、液体、気体のいずれの形態も取り得る。化身の一つである戸口に潜むものは黒い無定形の怪物として出現し、別の化身であるラマセクヴァはヒンドゥーの神格のような多手足を持つ人間の姿を取るとされる。時空の混沌のただなかでは、原初の粘液として泡立つ、触角のある無定形の怪物として人間の目に映じるという記録もある。
われわれの現実に干渉する際は、その一部しか顕現しないため、真の大きさは未知である。記録された顕現では100mから1km以上まで大きさが変化し、時には天空を埋め尽くすほどの規模に達したという。この可変性は次元を渡る「穴」の大きさに制限されているとする説や、旧きものの魔術による制約を受けているとする説がある。ヨグ=ソトースが触れたものは、ほぼ確実に破壊されるとされる。
この存在は実在の宇宙と暗黒空間の間、次元の狭間に棲まうとされる。『ネクロノミコン』によれば、すべての時空と同一の広がりを持ち、万物を一度に含有できる存在である。アザトースに匹敵する全能の力を持つとされるが、アザトースとは異なり、物質の大規模な操作や宇宙の改変は行わず、むしろ万物の知識が宿る結合組織のような性質を持つ。
現在は宇宙の外側に「閉め出されて」おり、直接的な干渉には人間による招来を必要とするという。一説では、すべての空間と時間が一点に収束する場所に旧き神によって封じ込められているとされるが、そのような場所は脱出不可能な重力効果を生み出すはずであり、疑問も呈されている。また、平行次元に棲んでおり、空間と時間のいずれかにのみ出現でき、その両方には出現できない可能性も指摘されている。
この存在は数多くの神話存在との血縁関係が示唆されている。シュブ=ニグラスとの間にナグとイェブを、また単独でヴルトゥーム、クトゥルフ、ハスター、そしておそらくサイサロスを生み出したとされる。さらにイブ=ツトゥルとの関連も示唆されている。これらの関係は、ヨグ=ソトースが時空をまたいで自身を拡張するための手段である可能性が指摘されている。
人類との関わりにおいて、蛇人間と人間の魔術師双方が歴史上この存在を招来してきた。アステカ族やアヴェロワーニュの人々など、地球上の様々な文化で崇拝の対象となっているが、これらの信仰が一般的であったとは考えにくい。崇拝者たちはヨグ=ソトースを聖なる知恵の授与者とみなし、魔術的知識や万物の秘密を求めた。特定の魔術師たちは、時間と空間の限定的な制御能力と引き換えに崇拝を行い、空間の歪曲や時間からの離脱といった力を得たという。しかし、最終的にヨグ=ソトースはこれら道を踏み外した者たちの精神を支配下に置き、肉体の破壊によってもこの運命からは逃れられないとされる。
特筆すべきは人間との接触を通じて「子」を残そうとする傾向であり、これは現実世界における永続的な存在を得るための手段とされる。1913年から1928年のダニッチ事件以外、この形での顕現は成功していないとされる。また、一説では地球の生命を捕食するための手段として「子」を残そうとしているという解釈もある。
ヨグ=ソトースの召喚には、高い石の塔あるいは環状列石が用いられ、知的生物の生贄が必要とされる。伝統的には収穫祭(8月1日)が選ばれ、メイ・イブも可能とされるが、いつでも招来可能とする説もある。ただし、その名前を正しく発音することは召喚者の破滅を招くとされる。
星辰正しき刻において重要な役割を果たすとされ、この点については多くの研究者が同意している。「鍵にして門」という名は新時代の予言と考えられ、ヨグ=ソトースは文字通り鍵と門の両方の役割を担うとされる。これにより、この存在が2つに分かれながらつながっており、両者が揃わなければオールド・ワンたちの帰還する道を「解錠」できないとする解釈も存在する。
この存在に関しては、いくつかの興味深い説が存在する。一説では、ヨグ=ソトースは無名の霧の落し子であるとされるが、一般的には永遠の存在とされている。また、現実世界に現れるウムル・アト=タウィルは実際にはヨグ=ソトースが変装した姿であるという説や、UFOの顕現がヨグ=ソトースの出現の結果であるとする説も存在する。深淵の守護者コロンゾンとの関連性を指摘する説もあり、ケネス・グラントはこの関係性に特に注目している。
さらに特異な説として、ヨグ=ソトースが大いなる深淵の大帝ノーデンスと完全に相対する存在であり、時の終わりまでノーデンスを追跡し続けるとするものがある。また、モーゼによって解放されるまでシナイ山の旧き印の下に封印されており、ヤハウエは実際には外なる神の顕現であったとする説も存在する。加えて、ヨグ=ソトースは召喚した存在、召喚の時、そして神をこの次元にとどめる存在という三位一体から成るとする解釈もあるが、これらの説はいずれも広い支持を得ているとは言い難い。
【住処】
- 次元の狭間(実在の宇宙と暗黒空間の間)
ゲーム上ステータス・能力・恩恵等
ステータス(7版)
STR | CON | SIZ | DEX |
不明 | 2000 | 不定 | 5 |
POW | HP | MP | DB |
500 | 400 | 100 | 不明 |
ビルド | 移動 | 正気度喪失 |
不定 | 0/飛行100 | 1D10/1D100 |
行動
- 攻撃回数:1回
- 雷撃:80%/5D10/500m …MPを5消費して1ラウンドに最大5回の電撃を放つ。回避に失敗した対象は5D10のダメージを受ける。
- 球:80%/CON3D10+APP2D10/20m …一つの球を対象に飛ばし触れる。回避に失敗した対象は即座にCONを3D10、APPを2D10を永久に失う。
装甲
- なし。
- 普通の武器はダメージを与えない。
- HPが0になれば別次元に逃げる。ヨグ=ソトースは不滅の存在なので死ぬことはない。
魔術
- 呪文:「ト占」・「真実の一瞥」・「地獄への亀裂」・「ネズミ怪物の呪い」・「アザトースの呪詛」・「ヨグ=ソトースのこぶし」・「破壊」・その他キーパーの任意。ヨグ=ソトースは記されていない呪文さえも知っている可能性がある。
能力
- 知識:宇宙の真実や呪文などを授ける
- 怪物を召喚する:自身に仕えている神話生物を召喚することができる
- 旅:ヨグ=ソトースが触れたものは、あらゆる次元を物理的に移動できる
恩恵
- 全知:未来の出来事を教える
- アーティファクト:他の次元を見ることができる鏡などを授ける
- 宇宙的な知識:自身の持つ虹色の球にさまざまな事象を移して、恩恵者に知識を与える
- 怪物を召喚する:下級の神話生物を召喚して従えることができる
- 復活:復活の呪文を教えてもらえ、それを使用することで不死の体を手に入れることができる
- 旅:宇宙や他の次元などを行き来することができる
シナリオ導入例・演出のヒント
原作「ダンウィッチの怪」では
- 1913年、ラヴィニア・ウェイトリーが私生児ウィルバーを生む
- ウィルバーが奇怪な容貌と異常な成長を見せる
- 老ウェイトリーが家の改築を進め、牛を大量に買い入れるようになる
- 老ウェイトリーが死に、ラヴィニアが行方不明になる
- 1928年、ウィルバーがミスカトニック大学図書館で『ネクロノミコン』を盗み出そうとする
- ウィルバーが番犬に襲われて死ぬ
- ダンウィッチ村で巨大な「物」が通った跡が発見される
- ウェイトリーの家が壊れる
- 村のあちこちで牛が殺される事件が発生
- アーミテッジ博士がウィルバーの日記の解読に成功
- アーミテッジ博士がライス教授、モーガン博士と共にダンウィッチへ急行
- 博士の調合した粉末で怪物の姿が一瞬現れる
- 3人の博士が丘の上から呪文を唱えて怪物は消滅する

名作中の名作。ヨグ=ソトースと人間の間にできた子供が主人公の作品で、クトゥルフ神話が発案される前のラヴクラフトは、もしかしたら邪神よりも悪魔をイメージしていたのかもしれません。
シナリオ導入例
1.:環状列石覚醒型
- 古代環状列石の遺跡で、調査中に石組みから異常なエネルギー反応を検出する
- 収穫祭の夜に、遺跡周辺で虹色の光が天空に立ち上るのを目撃される
- 調査チームが古代ケルトの生贄儀式を、現代的に「再現」する実験を計画する
- 実験開始後、遺跡から巨大な球体群が出現し、現実の法則が破綻し始める
- 探索者は考古学者、地元住民、またはオカルト研究者として現場に居合わせる
2:時空の魔術師型
- 大都市で連続する「不可能犯罪」が発生し、犯人が壁をすり抜けたり時間を巻き戻したりする
- 犯罪現場に虹色の光の痕跡と時空間の歪みを確認
- 容疑者の魔術師が「至上の知識」を求めて、ヨグ=ソトースと取引していることが発覚
- 魔術師の精神が徐々に神格に支配され、現実認識が破綻し始める

王道中の王道の邪神で、いくらでもシナリオが考えられそうですっ。
ただヨグ=ソトース本人が顕現すると、事態がややこしくなるかもしれないので、あくまでも悪用する人間が登場するくらいに収めた方が良さそうかも。
演出のヒント
1:虹色球体群の圧倒的演出
- 無数の球体が虹のように輝きながら蠢く
- 球体の一つ一つが宇宙を内包しているような、無限の深みの表現
- 見つめすぎると催眠効果
2:時空間の混乱演出
- 過去・現在・未来が同時に存在する時間軸の破綻
- 空間が折り曲がり、隣の部屋が別の大陸に繋がる
- 重力や物理法則が局所的に無効化される現象
- 探索者が異なる時代や場所に突然転移してしまう
3:全知全能の演出
- 探索者の過去・現在・未来の行動を全て知っている
- 隠し事や秘密が全て筒抜けになっている
- あらゆる計画や対策が事前に看破されている



未来ももちろん知っているため、一度顕現したら封印は旧神じゃない限り無効化してきそうです、
また、綺麗だからと触れるのは危険で、触れた後に手がヨグソトースのようなぶつぶつの球体になります。
鳥肌レベルの描写も必要に応じて入れると気持ち悪さアップですっ。
イラスト・ファンアート・素材紹介


- イラスト:Lordigan様「Yog-sothoth by Lordigan on DeviantArt」


- 素材:🌱まめさんの店🌱様「ヨグ・ソトース/クトゥルフ神話TRPG/外なる神の一柱SPLL:E194594 – 🌱まめさんの店🌱 – BOOTH」
単品価格:300円
他の神話生物・魔導書との関連
【相関】
【関連魔導書】
- 『ネクロノミコン』
- フォン・ユンツト『無名祭祀書』
- 『断罪の書』
- 『内省録』
登場作品
- 「ダンウィッチの怪」 (ラヴクラフト)
- 「暗黒の儀式」 (ラヴクラフト)
- 「丘の夜鷹」 (ラヴクラフト)
- 「チャールズ・デクスター・ウォード事件」 (ラヴクラフト)
- 「銀の鍵の門を越えて」 (ラヴクラフト&E.プライス)
- 「暗黒の儀式」 (ラヴクラフト&ダーレス)
- 「ハイストリートの教会」 (キャンベル)
- 「聖人アゼダラク」 (C.A.スミス)
- 「電気処刑器」 (デ・カストロ)
- 「博物館の恐怖」 (ヒールド)
- 「陳列室の恐怖」 (カーター)
- 「地底の足音」 (水木しげる)
- 『魔道書ネクロノミコン』 (ヘイ)
- “Glimpses” (アタナシオ)
- “Outside the Circles of Time” (グラント)
- “The Winds of Zarr” (ティアニー)
- “Prey” (マスタートン)
- “The Statement of One John Gibson” (ラムレイ)
- “The Transition of Titus Crow” (ラムレイ)