【登場作品】
- 「Out of the Ages」(カーター)
- 「時代より」
【住処】
- ゾスの二重星(移動不可能な状態)
【概要】
本報告は、ゾスの母神「永遠の脈動者」として知られるイダ=ヤーについての調査記録である。
イダ=ヤーは、ゾスの二重星に存在する脈動する永遠の存在である。『ポナペ教典』によれば、クトゥルフと結ばれ、ゾス三神として知られるゾス=オムモグ、ガタノソア、クティラ(一部の文献ではユトグタとも)を産んだ母なる神格とされる。
形態的特徴として、イダ=ヤーは絶え間なく脈動し、のたうつ姿を持つとされる。その本質は、現代の科学的概念で言えばブラックホールに近い性質を持ち、宇宙の物質を飲み込む特性を有している。宇宙の潮流に乗って流れてきた下級の存在を捕食し、それらを再構成して奇妙な形態や幼生として「再誕」させる可能性が指摘されている。
特筆すべき特徴として、イダ=ヤーはゾスの二重星と本質的に結びついており、そこから移動することができないとされる。『ネクロノミコン』の記述によれば、この特性は星との不可分な関係性を示唆しており、一部の研究者はイダ=ヤーがゾスの住人というよりも、星そのものである可能性を指摘している。この拘束状態は、古代の魔術か宇宙の力によるものと推測され、エーテルに乗って宇宙を漂うことしかできない状態にあるとされる。これが、他のオールド・ワンたちと異なり、地球への来訪を果たしていない理由と考えられている。
研究者の中には、イダ=ヤーをシュブ=ニグラスと同一視する者もおり、「母なる神格」の象徴として解釈する立場も存在する。ただし、アザトースの女性的側面とする説は、多くの研究者から否定されている。
魔術師エイボンの予言によれば、イダ=ヤーは将来「強くなっていく殺し屋」と呼ばれる存在を産むとされる。この存在はアザトースと匹敵する力を持ち、星々の光を吸収する能力を有するという。この予言は「星辰正しき刻」の概念と関連し、オールド・ワンの解放には特定の天体の破壊が必要であることを示唆している。この出来事は、惑星規模での激変を引き起こし、地球と太陽系に重大な影響を及ぼすと予測されている。