本作は1937年、WTに収録された。
- キロワン…ジョン・グリムランの知人、コンラッドの友人
- ジョン・コンラッド…キロワンの友人
- ジョン・グリムラン…丘の上の屋敷に住む奇妙な老人
- フォン・ベーンク教授…ウィーンの教授
【舞台】
- 1930年
真夜中、語り手のキロワンは、友人ジョン・コンラッドの不気味なノックで目を覚ます。青ざめた顔のコンラッドは、丘の上に住む謎めいた隠者ジョン・グリムランが一時間前に死亡したと告げる。
グリムランは癲癇に似た奇妙な発作に悩まされており、キロワンも一度その恐ろしい様子を目撃したことがあった。コンラッドによれば、グリムランはコンラッド以外の誰にも看取られることなく、恐怖に満ちた恐ろしい最期を迎えたという。その死に際の恐怖と苦悶は、この世のどんな苦しみをも超えるものだったと語る。
コンラッドはキロワンに、グリムランの遺体に関する風変わりな指示を実行するための手助けを求めてやってきたのだった。二人は静まり返った夜道を歩き、丘の上にそびえる黒い屋敷へと向かう。
道中、コンラッドはグリムランとの奇妙な友情について語る。グリムランはオカルト研究者として知られていたが、その関心は常に邪悪で陰鬱な側面—悪魔崇拝、ブードゥー教、神道の暗部—に向けられていた。ある晩、グリムランは突然狂気に取り憑かれたように振る舞い、自分が長い年月を生き、多くの世代の滅亡を目撃してきたかのような不可解な言葉を発したという。
さらに不思議なことに、グリムランはこの村に20年間住んでいるが、その間まったく老けていないという噂があった。ウィーンのフォン・ベーンク教授は、50年前のベルリンで若い頃にグリムランに会ったことがあると証言しており、その時もグリムランは50歳くらいに見えたという。
ついに屋敷に到着した二人は、暗い廊下を手探りで進み、書斎に入る。コンラッドは黄変した封筒を取り出し、これがグリムランの遺言だと説明する。グリムランは10年前、モンゴルから帰国した直後にこの封筒をコンラッドに渡し、自分が死ぬまで開けないこと、死後は指示に正確に従うことを誓わせたのだ。
しかし死の間際、グリムランは態度を一変させ、封筒を破り捨てるよう必死に懇願したという。さらに意識が朦朧としてくると、自分の体を切り刻んで四方にばらまいてくれとわめき散らしたのだった。キロワンはその黄ばんだ羊皮紙に目を向け、世代を超えて生き続けた男の最後の秘密が記されていることを悟るのだった。