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呪術師の指環

呪術師の指環

The Rings of Papaloi

真5 D・J・ウォルシュJr.
概要
登場人物
あらすじ

本作は、”Dark Thing”に収録された。

ドナルド・J・ウォルシュJr.(1951年-)は、ダーレスによる作家紹介によればニューオリンズに住み、SF雑誌に作品を投稿していた人物だ。アメリカSF作家協会の南部支部で会長を務めた経歴を持ち、本業は探偵だった。

呪術師の指環」という作品は、「クトゥルフの呼び声」に登場する「ルグラス警部の話」の場面を思い起こさせる内容となっている。

【収録】

  • ロバート・カールトン教授

ニューオリンズ大学の理事会は事件の全てを闇に葬ろうとしていた。今朝、地方紙に私の名—ロバート・カールストン教授の名が掲載された。秘密を知った私は、遠からず命を狙われることになるだろう。

ミシシッピデルタ地帯での悲劇。六人の卒業生の死と、沼地で錯乱状態で発見された私。毎年恒例の卒業生とのフィールドワークで、今年は場所を変えたことが全ての始まりだった。ラフォーシュの入江の瀉流を選んだのは、現地の黒人たちが今でも古来の呪術を執り行っているという噂を確かめるためだった。

一ヶ月の準備を経て、私を含む七人の調査隊がガイドのジャック・デュラリオウと二人の現地人とともに出発した。カールストンは真の目的をジャックだけに打ち明けた。「西にある島へ行くといい」—ジャックの幼少期の記憶に刻まれた恐怖の島。トムトムの音が鳴り響いた翌日、一家が忽然と姿を消したという忌まわしい場所だった。

私はデルニエールの「臨終の島々」を選んだ。島の中心に辿り着くと、恐怖に駆られた現地人の二人は逃げ出した。そこには古い礼拝堂があり、内部の花崗岩には奇妙な文字が刻まれていた。解読しようとした瞬間、沼の方から叫び声が聞こえた。駆けつけると、現地人の一人が沼に沈んでいくのが見えた。

六日間の調査では現代に続く信仰の痕跡は見つからなかった。しかし最終日の夜、見張りをしていた学生がトムトムの音を聞いて皆を起こした。次第に近づいてくるその音とともに、私たちは意識を失った。

私の見た夢—多くの人間が儀式を執り行う姿。石碑の傍らには小像があった。山羊の蹄と角、そして触手を持ち、冷笑的な表情を浮かべていた。儀式の頂点で異形の存在が闇から姿を現した。

そして生贄を待ち望む古の神は、私たちを見つめていた…。

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