トップ > 作品一覧 > 小説 > 足のない男
足のない男

足のない男

The Tree-Men of M’Bwa

ドナルド・ワンドレイ 全集2
概要
登場人物
あらすじ

ドナルド・ワンドレイ(Donald Wandrei)は、クラーク・アシュトン・スミスの影響のもと詩作を始めたが、その作風は独自の怪奇的色彩を確立した。後に彼は、その手法をさらに発展させ、濃密な悪夢的要素を含む独特な散文詩風の掌編を執筆するようになる。1927年10月号の『ウィアード・テイルズ』誌に掲載された『赤い脳髄(The Red Brain)』は、現在ではSF古典として評価される代表作となっている。

本作は1932年、WTの二月号に収録された。
1926年頃、当時ミネソタ大学の学生だったワンドレイは、スミスの紹介によりH・P・ラヴクラフトと文通を開始した。ラヴクラフトはワンドレイの作品に深い感銘を受け、スミスへの書簡で「貴方以外にワンドレイほど真の宇宙感覚と空想力を持っている作家はいない」と高く評価している。

注目すべきは、ラヴクラフトが1930年9月号の「ウィアード・テイルズ」誌から連載を開始した神話詩「ユゴス星より(Fungi from Yuggoth)」が、ワンドレイが1928年5月号から連載していた”Sonnet of the Midnight Hours”と著しい類似性を示している点である。この事実は、むしろラヴクラフトがワンドレイから影響を受けた可能性を示唆している。

1927年夏、ワンドレイはヒッチハイクでプロヴィデンスのラヴクラフトを訪問し、「CTHULHU」の発音について質問している。ラヴクラフトは当初「ク・リトル・リトル」と答えたが、後の書簡で「ク・ルー・ルー」が正しいと訂正している。ただし、R・H・バーロウは実際にラヴクラフトが「クートゥルー」と発音していたと証言しており、これらの齟齬は、ラヴクラフトが意図的に異なる情報を提供していた可能性を示唆している。

大学卒業後、ワンドレイはニューヨークの出版社に勤務するが、その後故郷に戻り英語学の博士号を取得。1932年に再びニューヨークに移住し、本格的なパルプ小説家としての活動を開始した。1930年代末まで、『ウィアード・テイルズ』『アスタウンディング・ストーリーズ』『スリリング・ワンダー・ストーリーズ』『アーゴシー』などの雑誌に、怪奇SF作品を多数寄稿している。

  • 語り手
  • ダニエル・リチャーズ
  • アングレイ
  • ムンバ
  • 無名の邪神…「回転流」に棲む邪神
  • 化木人…薬を飲まされた人間の果て

【舞台】

  • コンゴ

中央アフリカで考古学的な調査を行おうとする語り手は、ウガンダへの旅の途中、両足を失った男性リチャーズと出会う。リチャーズは語り手に対して旅のルート変更を強く勧めるが、語り手はその進言を聞き入れなかった。しかし、過去に足を失った探検家の話を思い出し、その探検家こそが目の前のリチャーズであることが判明する。
リチャーズは自身の壮絶な体験を語り始める。かつて彼は同行者のアングレイと共にコンゴへ探検に向かった。リチャーズは鉱床の調査を、アングレイは珍しい収集品を求めての旅だった。月霊山脈にたどり着くまでに数か月を要し、到着後、それぞれの目的のため別々に探索を始める。しかし山を登っていく過程で、リチャーズは周囲に生物の気配が一切ないという不自然さに違和感を覚え始める。そして山頂に到達したとき、彼は得体の知れない人影を目撃するのだった…。

カテゴリー一覧