『Where Yidhra Walks』は、アメリカの作家ウォルター・C・デビル・ジュニアによる短編小説である。
この作品は当初、デビル・ジュニアが創作した『Mlandoth Cycle』(ムランドス・サイクル)の一部として書かれた。ムランドス・サイクルは作者独自の神話体系を描いたものだが、後にこの作品はより広範なクトゥルフ神話の一部として認識されるようになった。
この変化が起きた主な要因は、カオシアム社が製作した『Call of Cthulhu』(クトゥルフの呼び声)というロールプレイングゲームである。このゲームを通じて、『Where Yidhra Walks』に登場する要素がクトゥルフ神話の一部として取り込まれ、より広い読者層に知られるようになった。
- ピーター・コバックス…語り手
- ヴァルへイム・クレイマー
- クレイマー夫人…イドラの子供
- ジョージー…夫婦の娘
- ハリソン
- メイナード…警察官
- イドラ
【舞台】
- ミランド
テキサスの広大な平原を横断中のコバックス。従姉妹を訪ねる途上、ハリケーンがもたらした洪水により、小さな町ミランドに足止めされる。しかし、この町は閉鎖的で、よそ者を快く思わない。宿も見つからず途方に暮れるコバックスだったが、幸運にも同じくよそから来たクレイマーと出会い、彼の厚意で宿を提供してもらうことになる。
孤立した町で、二人の部外者が出会う偶然。この出会いが、やがて恐るべき真実への扉を開くことになるとは、誰も想像していなかった。
日が経ち、町の異様な雰囲気にコバックスの直感が反応し始める。住民たちの不自然な態度。夜な夜な聞こえてくる奇妙な唱和。そして、ひそひそと囁かれる「イドラ」という名前。
好奇心に駆られたコバックスは、クレイマーの助けを借りながら、町の謎を追い始める。イドラとは何者なのか。なぜ、この閉鎖的な町で崇拝されているのか。
調査を進めるうちに、驚くべき事実が明らかになっていく。イドラは大地の母なる神。そして、町のほとんどの住民がこの存在を崇拝する秘密結社に加わっているという衝撃の真実。
さらに不可解なのは、カルトへの加入が単なる信仰以上の意味を持つこと。会員たちには特別な「贈り物」が与えられるという噂。しかし、その力には代償が伴うという。
洪水に閉ざされた町。部外者を嫌う住民たち。そして、人知を超えた存在。コバックスは、謎の渦中へと引きずり込まれていく。