
【2025年版】「永劫より」入門|あらすじ・登場人物・おすすめ版まとめ
The Out of the Aeons
概要
本作は10,310語の短編小説で、1933年の8月に執筆された。ヘイゼル・ヒールドのための代作であり、初出は1935年『Weird Tales』の4月号に、単行本初収録は『Beyond the Wall of Sleep』で、校訂版が『The Horror in the Museum and Other Revisions』に収録されている。
ラブクラフトは書簡で、ヒールドの貢献は「古いミイラが頭脳だけは生きている」という部分だけで、本作をラブクラフトの作品だと言っている。
また、ラヴクラフトの創作初期に見られる「ダンセイニ風」の特徴と、後期の「神話作品」の雰囲気が一体化している。
本作品におけるトヨグのヤディス=ゴーへの登山描写は、『番神』に登場するバルザイのハデク=クラ登山と共通点を持つ。また、ムーに関する記述部分では、ロード・ダンセイニが神々と人間を題材に著した小説や戯曲を想起させる文体が採用されている。
登場人物
- リチャード・H・ジョンスン博士
- ウェントワース・ムーア
- ウィリアム・マイノット博士
- チャールズ・ウェザービー船長:ガタノソーアの眠る島に上陸し、ミイラを発見した人
- ピックマン館長:ピックマンの家系
- スワーミー・チャンドラプトゥラ
- エティエンヌ゠ローラン・ド・マリニー
- イマシュ゠モ:ガタノソアを信仰しているカルトの大司祭
- トヨグ:本作に出てくるミイラの正体 ガタノソアによってミイラ、石化された シュブ=ニグラスの大司祭 紀元前一七三一四八年
- ビルマ人とフィジー人:ビルマ人は発狂死、フィジー人はミイラ化
- キーフ巡査部長:ミイラの目を調査した人
舞台
- 1890年〜1932年 マサチューセッツ州ボストン キャボット考古学博物館
- 紀元前1731年 ヤディス=ゴー山
あらすじ
1878年、南太平洋の未知の島で、歴史を揺るがす発見があった。地図にも載っていないその島で見つかったのは、謎めいたミイラと、古代の秘密が刻まれた巻物を納めた金属円筒。しかし、調査隊が再び訪れようとした時、島は忽然と姿を消していた。まるで、秘密を守るかのように。
これらの遺物は、ボストンのキャボット考古学博物館に収められた。やがて、この博物館は世界有数のミイラコレクションで名を馳せるようになる。
時は流れ、1931年。突如として巻き起こったムー文明へのオカルトブーム。一人の記者が、キャボット博物館のミイラに目をつける。誇張に誇張を重ねた記事は、たちまち大衆の心を掴んだ。神秘家ド・マリニーの主張が、さらに火に油を注ぐ。「このミイラこそ、古代ムーの神官トヨグだ」と。
熱狂は瞬く間に広がり、博物館には連日、群衆が押し寄せた。その中には、怪しげな外国人やオカルティストの姿も。同時に、世界中で異様な宗教団体の摘発が相次ぐ。これらの出来事に、何か関連があるのだろうか。
1932年9月、事態は急変する。ミイラを狙う者が現れ始めたのだ。そして、さらに不気味な現象が起こり始める。展示されたミイラに、奇妙な変化の兆しが。大衆の熱狂は恐怖へと変わり、人々は足を遠ざけ始める。そんな中、不審な来館者たちの存在が際立つようになる。
そして12月、悲劇が起きる。警備員が殺害され、ミイラを盗もうとした2人の侵入者も変死体で発見される。だが、その死体には、言葉では表現しがたい奇怪な特徴が…。
邦訳版の比較ガイド おすすめの一冊はどれ?
現在入手可能な主要な邦訳版として、以下の収録版がある:
- 「クトゥルー7」:大瀧啓裕の「クトゥルー神話画廊Ⅰ」が合わせて読める。
- 「新訳クトゥルー神話コレクション1」:最新の翻訳で、クトゥルフをテーマにした作品を短編集。

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