本作は2,330語の短編小説で、1918年か1919年頃に執筆された。初出は1927年Vagrantの春号で、単行本初収録はBWS。校訂版がHMに収録されている。
この作品は『ウィニフリド・ヴァージニア・ジャクスン』との共同創作であり、初出時の著者名は「エリザベス・ネヴィル・バークリイとルーイス・ティアボールド・ジュニアによる翻案」と記載されていた。
物語の発端は1918年末頃にジャクスンが体験した夢にある。ラヴクラフトはこの夢について、自身も類似の夢を見ていたことを指摘し、その不思議さを語っている。ただし、ラヵクラフトの夢はジャクスンのものほど詳細ではなかったという。ラヴクラフトが自身の夢を話したところ、ジャクスンがより発展した同様の夢を語ってくれたと述べている。また、物語の信憑性を高めるため、序文をラヴクラフト自身が考案して追加したことも別の機会に言及している。
文章がギリシャ語で書かれているという設定は、この物語が地球外の惑星に到達した古代ギリシャの思想家の体験談であることを暗示しようとしたものだが、作品内の記述だけでその結論に至るのは困難である。
- ジョン・リッチモンド
- ピーター・B・カー
- サイモン・キャンフィールド
- リチャード・M・ジョーンズ博士
- チェイムバーズ教授
- ラザーフォード
- メイフィールド教授
- フォン・ヴィンターフェルト教授
- ブラドリイ教授
【舞台】
- 1913年 アメリカ ポスワンケット
メイン州沿岸の海に落ちた隕石。その中から発見された、地球外の素材で作られた手帳。そこに記された物語は、純粋な古典ギリシャ語で綴られていた。
物語の主人公は、潮流に揉まれる半島で目覚める。自身の素性も、そこへ辿り着いた経緯も定かではない。
やがて半島は陸地から切り離され、小島となって漂流を始める。波は容赦なく島を侵食し、主人公の足場を蝕んでいく。
遠くに広がる緑の草原。島は、その地へと少しずつ近づいていく。耳に届く奇怪な歌声。それは距離を縮めるごとに、その正体を現していく。
そして、ついに歌の源が見えた瞬間—。主人公を襲う衝撃の啓示。
地球外の存在が残した手記が明かす、想像を絶する現実。