本作は12,300語の短編小説で、1927年3月に執筆された。初出はAmazing Stories誌1927年11月号で、その後Oに収録された。改訂版はDH、詳註版はAn1とCCに収録されている。
物語に登場する貯水池は、1926年に計画が発表されたクオビン貯水池がモデルとされている。ラヴクラフトは1926年10月にシチュエート貯水池を目撃し、これが創作のインスピレーションとなったことを後年明かしている。また、ラヴクラフトの母親が語ったという「奇怪な生物」の話が、作中のナビー・ガードナーの狂気を想起させるという指摘もある。
ラヴクラフト自身は本作を「雰囲気のある習作」と評しており、特に隕石の正体や性質を明確にしていない点が、かえって作品の恐怖感を高める効果をもたらしている。これは、アーサー・マッケンの『白魔』に対するラヴクラフトの評価と通じるものがある。
本作は、ラヴクラフトにとってホラーとSFを融合させた最初の主要作品であり、後期作品の特徴を先取りしている。そのため、SF専門誌Amazing Storiesがすぐに採用したのは自然なことだった。しかし、編集長ヒューゴー・ガーンズバックの支払いの遅さと低額な原稿料に不満を抱いたラヴクラフトは、以後同誌への投稿を避けるようになった。
作品の投稿先に関しては諸説あるが、ラヴクラフト自身の書簡から、当初はWeird Talesへの投稿を考えていたことがわかる。
- 語り手…映画ではウォード・フィリップスを名乗る
- アミ・ピアース
- ネイハム・ガードナー…50歳前後の愛想の良い男性
- サディアス…ネイハムの息子 次男 15歳 発狂
- マーウィン…ネイハムの息子 三男
- ジーナス…ネイハムの息子 長男 発狂
- アビゲイル…ネイハムの妻 発狂
- 教授…隕石を見に行った三人
- マグレガー家の少年…ネイハムの家の近くで撃った動物の奇形を報告した子
- スティーブン・ライス…ネイハム家の近くの植生がおかしいのに気づいた人
- 検査官、監察医、獣医、警官三人…ネイハムの家を見に行った人
アーカムの西部、新たな貯水池建設のために派遣された一人の測量技師。彼の前に広がったのは、生命の気配すら感じられない荒涼とした土地だった。地元の人々はその場所を「焼け野」と呼んでいた。
この不可解な荒廃地の謎を追う測量技師は、近隣に住むアミ・ピアースという老人と出会う。アミは1882年に起きた、信じがたい出来事を語り始める。
その年、ネイハム・ガードナー家の敷地に一つの隕石が落下した。ミスカトニック大学の科学者たちが調査を行うが、その隕石は常識を覆す異常な性質を持っていた。冷めることなく、未知のスペクトルを放ち、どんな溶剤でも溶けない。そして、その中には「描写不可能な色」を持つ球体が存在していた。
球体にハンマーを振るうと、それは破裂し、やがて消滅。しかし、この出来事を境に、奇怪な現象が次々と起こり始める。巨大化するも食用に適さない果実、奇怪に変異する動植物、腐った乳を出す牛。そして、最も恐ろしい変化がガードナー家を襲う。
最初に異変に気づいたのは、ネイハムの妻ナビーだった。彼女は突如発狂し、悲鳴を上げ始めた。2階の部屋に閉じ込められた彼女を皮切りに、ガードナー家の人々は次々と狂気に冒されていく。
測量技師は、アミの語る恐ろしい話に耳を傾けながら、この地に潜む言い知れぬ恐怖の正体に迫っていく。果たして「焼け野」の真相とは?そして、ガードナー家を蝕んだ狂気の正体とは?宇宙からもたらされた未知なる恐怖が、この地上で引き起こした悪夢の結末が、今まさに明かされようとしていた。