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【読了ガイド】『幻想と怪奇11 ウィアード・ヒーローズ 冒険者、魔界を行く』│収録作品・購入方法まで紹介

【読了ガイド】『幻想と怪奇11 ウィアード・ヒーローズ 冒険者、魔界を行く』│収録作品・購入方法まで紹介

本書は、新紀元社の「幻想と怪奇」シリーズ第11号で、ウィアード・ヒーローズの特集号である。

収録作品は「バル・サゴスの神々」、「暗黒神のくちづけ(新訳)」、「不死鳥の彼方に(新訳)」、「黒い蘭」、「半分だけ憑かれた家(新訳)」、「緑の絹手袋」、「夜の魔翼(新訳)」、「飢えた雪」など10編となっている。

ウィアード・テイルズが展開したヒーロー物語を扱った号で、「幻想と怪奇7 ウィアード・テイルズ 恐怖と冒険の王国」の続刊と位置づけられる。クトゥルフ神話作品ではないが、「バル・サゴスの神々」のみ後にクトゥルフ神話になる作品である。

  • 「A Map of Nowhere 10:「飢えた雪」のロッキー山脈南部」  (藤原ヨウコウ)
  • バル・サゴスの神々」  (ロバート・E・ハワード)
    • ヴァイキングの襲撃で捕らわれの身となったターロックは、かつて命を助けたサクソン人アゼルスタンに救われる。
      しかし嵐で船が難破し、失われた王国バル=サゴスの残滓が息づく謎の島に漂着する。
      褐色の肌の島民の間で女神として君臨する、白い肌の美女ブリュンヒルドを怪鳥グロス=ゴルカから救出する。
      彼女は女神を装い女王として君臨していたが、大神官ゴタンの謀略で追放されたと語る。
      「海から来た鉄の男たちがバル=サゴスを滅ぼす」という古の予言があり、鉄の鎧に身を包んだ二人の姿はその成就を思わせた。
      ブリュンヒルドは二人の存在を利用して、失われた権力を取り戻そうと提案し、ターロックとアゼルスタンは決断を迫られる。
  • 「暗黒神のくちづけ(新訳)」  (C・L・ムーア)
  • 「不死鳥の彼方に(新訳)」  (ヘンリー・カットナー)
  • 「ウィアード・テールズの女王――マーガレット・ブランテージの生涯」  (宮壁定男)
  • 「黒い蘭」  (シーベリー・クイン)
  • 「半分だけ憑かれた家(新訳)」  (マンリー・ウェイド・ウェルマン)
  • 「緑の絹手袋」  (朝松健)
  • 「夜の魔翼(新訳)」  (ロバート・E・ハワード)
  • 「飢えた雪」  (ジョー・R・ランズデール)

出版社:新紀元社

発売日:2022/8/31

ページ数:280ページ

価格:紙版:2420円

良い点

  • 新紀元社の「幻想と怪奇」が続いていることで、この分野の読者のすそ野が広がっていることがわかる
  • C・L・ムーアとヘンリー・カットナー夫婦の懐かしい作品が読める
  • 「飢えた雪」では吹雪に閉じ込められた山の洞窟でメーサー牧師が精霊に立ち向かう展開が印象的
  • ランズデールの他の作品の翻訳への期待も高まる
  • 「剣と魔法」「妖魔と探偵」「聖書と銃弾」の3つのカテゴリーでバランス良く構成
  • 力強いヒーロー・ヒロインの活躍から理知的なミステリー解決まで幅広いヒーロー像を提示

気になった点

  • コナンなどのメジャーなものではなく、日本ではあまり知られていない作品が中心
  • ハワードの「バル・サゴスの神々」はE・R・バローズのスタンダードから脱却しきれていない印象
  • ヒロイック・ファンタジーを期待して読むと期待外れになりかねない
  • 後半に中弛みしてしまうことがある構成上の問題

こんな人におすすめ

  • ウィアード・テイルズ系の作品に興味がある人
  • 日本ではあまり知られていないヒロイック・ファンタジー作品を読みたい人
  • C・L・ムーアやヘンリー・カットナーの作品ファン
  • 怪奇探偵もの(カーナッキやジョン・サイレンス系)に興味がある人
  • 怪奇西部劇系の作品を楽しみたい人
  • 幻想・怪奇小説のヒーロー像について知りたい人

本書は、ウィアード・テイルズが育んだヒーロー物語の特集として、力強い冒険から理知的な謎解きまで幅広いヒーロー像を提示した貴重な一冊である。

メジャーではない作品が中心ながら、幻想・怪奇小説における勧善懲悪のヒーローたちの多様な魅力を知ることができる価値ある作品集となっている。