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【読了ガイド】『クトゥルー9』│収録作品・購入方法まで紹介

【読了ガイド】『クトゥルー9』│収録作品・購入方法まで紹介

クト9

『クトゥルー9』は、フランク・ベルナップ・ロングの歴史的に重要な作品「喰らうものども」と、ラヴクラフトの代表作「闇に囁くもの」を軸とした7編を収録した短編集。

特に「喰らうものども」は、ラヴクラフト以外の作家による初のクトゥルフ神話小説として、神話の拡張の始まりを象徴する作品となっている。

「闇に囁くもの」には人気のクリーチャーであるミ=ゴ(ユゴスより来るもの)が登場し、クトゥルー神話における重要な神話生物の一つとして知られている。大瀧啓裕氏による「クトゥルー神話画廊Ⅲ」も本書籍でのみ読める独占収録となっている。

  • 「謎の浅浮彫り」 オーガスト・ダーレス
  • 城の部屋」 J・ラムジー・キャンベル
  • 「喰らうものども」 フランク・ベルナップ・ロング
  • 「魔女の谷」 ラヴクラフト&ダーレス
  • セベクの秘密」 ロバート・ブロック
  • ヒュドラ」 ヘンリー・カットナー
  • 闇に囁くもの」 H・P・ラヴクラフト
    • 1927年バーモント州大洪水後、正体不明の死体が発見される。
      ミスカトニック大学のウィルマース教授は、地元住民エイクリイから地球外生命体の存在と金属採掘活動、人間の脳髄を使った宇宙旅行について記された手紙を受け取る。
      文通を続けるうち信じ始めるが、異星人と敵対していたはずのエイクリイが突如和解し、手紙の調子も別人のように変化する。
      招待を受けた教授がエイクリイ宅を訪れると、想像を絶する恐怖が待っていた。
  • 「クトゥルー神話画廊Ⅲ」

出版社:青心社

発売日:1993/11/1

ページ数:322ページ

価格:紙版:814円/電子版:660円

良い点

  • フランク・ベルナップ・ロングの「喰らうものども」は、初めてラヴクラフト以外の作家が創作したクトゥルフ神話小説として歴史的価値が高い
  • 「喰らうものども」は冒頭にネクロノミコンからの引用があり、オリジナルのクリーチャーを登場させた画期的作品
  • ブロックに先んじてラヴクラフトをモチーフとした人物を作中で登場させ、クリーチャーに殺させるという斬新な展開
  • ラヴクラフトの「闇に囁くもの」は恐怖への主人公の複雑な心情変化が秀逸で、懐疑から恐怖、興奮へと移り変わる描写が印象的
  • シリーズの安定した面白さがあり、毎回同じパターンでも気持ちよく読める魅力
  • 巻末のクトゥルー神話画廊が面白く、ウィアードテイルズ誌の挿絵画家「暗殺王」のエピソードがジョークっぽくて愛らしい
  • 「闇に囁くもの」と「インスマスを覆う影」の構造的類似性など、作品間の比較考察が興味深い

気になった点

  • ヒュドラの恐怖描写は他の神話生物より陰惨で、永遠に生かされ続ける設定が重すぎる場合がある
  • エイクリイの真意について曖昧な部分があり、解釈が分かれる可能性
  • 毎回同じパターンという指摘もあり、マンネリ感を感じる読者もいる

こんな人におすすめ

  • クトゥルフ神話の歴史的発展に興味がある人
  • ラヴクラフト以外の作家による初期の神話作品を読みたい人
  • ミ=ゴ(ユゴスより来るもの)について詳しく知りたい人
  • 恐怖に対する複雑な心情描写を楽しみたい人
  • ウィアードテイルズ誌の歴史やエピソードに興味がある人
  • 作品間の類似性や比較考察を楽しみたい人

本巻は、クトゥルフ神話の拡張史において極めて重要な位置を占める作品群を収録した短編集となっている。

「喰らうものども」は、ラヴクラフト以外の作家による初のクトゥルフ神話小説として、神話世界が単一作家の枠を超えて発展していく起点となった作品である。

また、「闇に囁くもの」に登場するミ=ゴは、現在でも高い人気を誇る神話生物として、多くの後続作品に影響を与え続けている。

巻末の神話画廊では、ウィアードテイルズ誌の歴史的エピソードも楽しめ、大瀧啓裕氏の資料的価値と合わせて、クトゥルー神話の発展史を理解する上で欠かせない一冊といえる。

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