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蝋人形館の恐怖

蝋人形館の恐怖

the horror of the museum

クト1 新訳3 ハワード・フィリップ・ラヴクラフト
概要
登場人物
あらすじ

本作は11,440語の短編小説で、1932年10月、ヘイゼル・ヒールドのために代筆したもの。初出は1933年WT7月号で、単行本初収録はBWS、校訂版はHMに収録されている。

この頃のラブクラフトは、添削の仕事が、小説の代作に近くなっていると述べ、本作をヒールドから提供された時、そのあらすじの質が悪いため、ほとんどを捨てて自らの作品に仕立て上げたと述べている。

作中ラーン=テゴスの記述がクトゥルーを連想させるが、クトゥルーの彫刻や像ではなく、神そのものが博物館の地下に捕らえられている。また、「黒い腕」の描写などが『ピラミッドの下で』の結末を思い起こさせる。

  • スティーブン・ジョーンズ
  • ジョージ・ロジャース…蝋人形館の製作者
  • オラボナ…修理士兼アシスタント・デザイナー
  • ラーン=テゴス
  • 空鬼

【舞台】

  • ロンドン

ロンドンの片隅、サウスウォーク・ストリートの地下に、知る人ぞ知る奇妙な博物館がある。ロジャーズ博物館。その特別室には、人々の想像を超えた忌まわしい展示品が並んでいた。冒涜の神々を模したおぞましい蝋人形たち。その不気味な姿に、訪れる者の背筋が凍る。

オカルトマニアのジョーンズは、この博物館に通い、次第に館長のロジャースとも打ち解けていった。しかし、ある日のことジョーンズの軽はずみな一言が、二人の関係を一変させる。

怒ったロジャーズは、驚くべき告白を始める。展示品の一部は人工物ではないという。そして、禁断の書物を解読し、北極の地下に眠る神を発見して持ち帰ったのだと主張する。遺跡の写真、無惨に血を吸い取られた犬の死骸、そして彼が持ち帰ったという邪神像。これらの証拠を目の当たりにしたジョーンズの心に、恐怖が忍び寄る。

次第に興奮を高めるロジャーズ。彼は自らを神の神官と名乗り始め、ジョーンズの制止も聞かない。そして、ついに二人は奇妙な賭けを交わす。「ジョーンズが博物館で一晩逃げ出さずに過ごせるか」。

こうして始まるジョーンズの長く恐ろしい夜。蝋人形たちの間で過ごす時間が、彼の精神を蝕んでいく。果たして彼は夜明けまで耐えられるのか。それとも、何か恐ろしいものが彼を待ち受けているのか。

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