トップ > 作品一覧 > 小説 > 月の湿原
月の湿原

月の湿原

The Moon-Bog

ハワード・フィリップ・ラヴクラフト 全集7
概要
登場人物
あらすじ

本作は3,430語の短編小説で、1921年3月10日より少し前に執筆された。初出は1926年WTの6月号で、単行本初収録はBWS。校訂版がDに、詳註版がDWHに収録されている。

この作品は、ボストンにおける聖パトリックの日を祝うアマチュア文筆家たちの集会のために著された。ただし、実際の集会は聖パトリックの日より1週間早い3月10日に開催されている。本短編は、ラヴクラフトの著作の中でも最も古風な怪奇譚の一つに数えられる。物語の筋書きは、偶然にも1933年に執筆されたロード・ダンセイニ」の長編小説『Curse of the Wise Woman』と酷似した内容となっている。

  • 語り手
  • デニス・バリイ

【舞台】

  • キルデリイの湿原 アイルランド

アイルランドのキルデリイ、先祖伝来の地に戻ってきたアメリカ人デニス・バリイ。彼の目的は、敷地内の泥沼を干拓し、新たな価値を生み出すこと。しかし、その行為が招く結果を、彼はまだ知らない。

土地の農夫たちは、沼に宿る諸霊の怒りを恐れ、作業を拒否する。バリイは他所から作業員を集め、干拓を強行。だが、作業員たちを奇妙な夢が襲い始める。

ある夜、バリイの友人である語り手の耳に、遠くから聞こえてくる不気味な笛の音。そして彼の目に映るのは、作業員たちの奇怪な舞踏。彼らを導くのは、沼から現れた幽玄な存在—蒼白のナーイアスか、それとも別の何か。

しかし、夜が明けると、作業員たちは何も覚えていない。

そして訪れる運命の夜。バリイの野望と、土地に眠る古の力が激突する瞬間—。

干拓された沼から目覚める存在とは。そして、バリイと作業員たちの運命は—。

カテゴリー一覧