本作は7,030語の短編小説で、1928年にズィーリア・ブラウン・リード・ビショップのために代作したもの。初出は1929年WTの11月号で、同誌1939年4月号に再録された。単行本初収録はBWSで、HMに校訂版が収録されている。
ラブクラフトは、本作の物語の75%が自身の手によるものであり、基になる粗筋は、ガラガラ蛇の巣に住む開拓者夫婦の話から始まり、夫が蛇に殺され、死体が爆ぜ、妻が発狂する出来事だけが伝えられていた。プロットやプロローグ、後日談はなかったため、「蛇神と呪い」、「妻の斧による惨劇」、「蛇に襲われた者の正体」、そして「精神病院での結末」をラヴクラフトが新たに描き加えた。彼は1928年3月に完成稿をビショップに送り、題名も自ら考案したことが手紙から明らかになっている。
- 語り手
- マクニール医師
- イグ
- 蛇人間
- ウォーカ・ディヴィス
- オードリー・ディヴィス
- ウルフ
- ジョー・コンプソン
- サリー・コンプソン
- クライド・コンプソン
- トム・リグビー
- ジェニー・リグビー
【舞台】
- 1925年 ガスリー精神病院
- 1889年 ウィチタ川の北側 現ビンガー
1925年、オクラホマ州ガスリー。考古学者である「わたし」が訪れたのは、蛇伝承の謎を秘めた精神病院だった。
地下病室に潜む、人とも何とも形容し難い存在。その正体は、人類の認識を根底から覆す鍵となる。
マクニール院長が語り始める、36年前の奇怪な事件。
時は1889年に遡る。
オクラホマに新天地を求めたデイヴィス夫妻。夫ウォーカーの蛇への異常な恐怖。そして、邪神イグの伝説。
妻オードリーの善意の行動が、夫婦の運命を大きく狂わせる。ガラガラ蛇の仔を殺した瞬間、彼らの世界に亀裂が走る。
イグの報復を恐れながら過ごす夜。真の恐怖はこれから始まろうとしていた。
36年の時を経て、精神病院に収容された「何か」の正体とは。
蛇伝承が秘める真実は…そして、デイヴィス夫妻が直面した、想像を絶する運命とは—。