本作は1959年、アーカムハウスで出版された。
ダーレスが手掛けたインスマス物語群の1つであり、『ダンウィッチの怪』、『インスマスの影』の後日談で、ダンウィッチ村における深きものどもの血をテーマとしている。物語では、『ダンウィッチの怪』と同様の演出が用いられており、夜鷹の鳴き声に加えて蛙の鳴き声も、見えない恐怖に対する表現に利用されている。
後の1966年、『太陽の爪あと』という邦題で映画化された。
- アブナー・ウェイトリー…主人公、ルーサーの孫
- ルーサー・S・ウェイトリー… アブナーの母方の祖父
- サリー・ウェイトリー…ルーサーの長女、アブナーの伯母
- リビー・ウェイトリー…ルーサーの次女で、アブナーの母、従兄のジェレミア・ウェイトリーと結婚した。
- ラルサ2世…サリーが閉ざされた部屋で産み育てていた子供
- ウィルバー・ウェイトリー
- トバイアス・ウェイトリー… ダニッチ村の雑貨店の店主
- ゼブロン・ウェイトリー…ルーサーの弟
- アリア・ウェイトリー… ルーサーの従。
- オーベッド・マーシュ…ルーサーの父の従兄弟
- ラルサ・マーシュ … オーベッドの曾孫
【舞台】
- 「ダンウィッチの怪」の後のダンウィッチ
ダンウィッチへの道は、蛙の鳴き声や蟇の歌、旅人を狙うように飛ぶ夜鷹たちで不気味に彩られていた。アブナー・ウェイトリーは幼い頃からこの地の雰囲気を嫌い、遠くへ逃れ、成人へと成長した。
今や母も祖父ルーサーも、叔母のサリーも、さらには従兄弟のウィルバーとその双子の弟も、皆この世を去っていた。祖父ルーサーの遺言によりダンウィッチの家を相続したアブナーは、時が止まったかのように変わらぬ屋敷に足を踏み入れる。
その家には、サリー叔母を監禁していた部屋があった。奇妙なことに、アブナーは最期まで叔母の姿を見たことがなかった。家の中で見つけた祖父からの封筒には遺書が入っていた—水車小屋を破壊すること、そこに生き物がいれば殺すこと。そして、ウェイトリー家は呪われているが、ルーサーはその呪いとは無縁だということ。
サリーは水車の上の部屋に閉じ込められていたという。アブナーは彼女を暴食家と聞いていたため、巨漢を想像していた。サリーにはインスマスに遠い親戚がおり、そこを訪れた後から様子がおかしくなったらしい。
アブナーがこの土地に戻ってきたのは、資金が必要で遺産を手に入れるためだった。屋敷を探索し、ついにサリーの部屋へと足を踏み入れる。部屋の中は荒れ果て、魚のような異様な臭気が漂っていた。閉ざされた窓を蹴破ると、足元に一匹のカエルがいるのに気づくが、それはすぐに机の下へと姿を消した。
その瞬間、外からは夜鷹と蛙の不気味な合唱が響き渡る。不安に駆られたアブナーは寝室へと逃げ帰った。しかし、彼はまだ知らない—インスマスの血が水中で目覚めるとき、陸の者たちがどれほど儚い存在か、そして窓の外で鳴り響く歌が何を告げようとしているのかを。