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ウルタールの猫

ウルタールの猫

The Cats Of Ulthar

ハワード・フィリップ・ラヴクラフト 全集6 新訳4
概要
登場人物
あらすじ

この作品は1,350語の短編で、1920年6月15日に執筆された。初出は Tryout 誌(1920年11月号)で、その後 Weird Tales 誌の1926年2月号と1933年2月号に再掲載された。また、フロリダ州カッシアの Dragon-Fly Press 社から単独のブックレットとしても出版されている(1935年)。単行本では O に初収録され、校訂版は D、詳注版は DWH に収められている。

物語にはロード・ダンセイニからの表面的な借用が見られる。例えば、少年の名前ネメスは、ダンセイニの『五つの戯曲』(1914年)に登場する「アルキメデス王」からの影響が考えられる。また、「黒髪黒瞳の漂泊の民」という表現は、ダンセイニの『ヤン川を下る長閑な日々』(『夢見る人の物語』1910年)の終盤にある「漂泊の民…黒髪黒瞳の妖しい種族」という一節から着想を得た可能性がある。

全体的な物語の構造は、ダンセイニの『脅威の書』(1912年)に収録されている類似の復讐譚から影響を受けたと推測される。

  • 年老いた小作人
  • キャラバンのリーダー…浅黒い肌、頭にツノが2本、その間に円盤がある、モデルはハトホル
  • メネス…キャラバンにいる少年、浅黒い肌、いつも黒猫を抱えている
  • 宿屋の息子アタル…猫が夫婦の家に行くのも目撃した人
  • 老クラノン…市長
  • ニス…痩身の公証人、夫婦が悪いと思ってる
  • 鍛冶屋のシャン…市長と同伴
  • 石工のトゥール…市長と同伴
  • 検視官のザス…ニスと議論した人

【舞台】

  • ドリームランド ウルタール

ウルタールの村に伝わる奇妙な法律。「何人たりとも猫を殺してはならない」。この一見不可解な掟の背後には、戦慄すべき真実が隠されていた。

村には猫を憎悪する夫婦が住んでいた。彼らの残虐な行為は、やがて予想だにしない結果をもたらすことになる。

ある日、黒髪黒瞳の漂泊の民の隊商が村を訪れる。その中にいた幼い少年メネスは、愛らしい黒い仔猫を連れていた。しかし、その仔猫が突如姿を消してしまう。

悲嘆に暮れるメネス。猫を憎む夫婦の噂を耳にした彼は、村人には理解できない不思議な言葉で祈りを唱え始める。その夜、村中の猫が忽然と姿を消した。

この突然の出来事の裏に潜む真相とは? メネスの祈りが呼び覚ました力とは? そして、姿を消した猫たちの行方は?

人間の残虐性と、それに対する自然界からの報復。見えない力が織りなす因果の糸。そして、人知を超えた存在の介入。

ウルタールの村を襲う一連の怪異は、人間の傲慢さへの警鐘なのか、それとも何か別の意味を持つのか。謎に満ちた物語は、予想外の結末へと導いていく。

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